なぜ、営業電話で「感じのよさ」が求められるのか?
講師の私は、企業に出向いて「営業トークスキル研修」もしています。
戦略もあるしマニュアルもある。見込み客もいるし、商品もよい。
でも売れない・・・
となると、営業担当のコミュニケーション力が 問題な場合が多いからです。
営業電話では、最初の印象がその後のすべてを左右するといっても 過言ではありません。
「話を聞くか、切るか」は、 最初の数秒で判断されています。
私自身、つい最近知らない番号から電話がかかってきました。
開口一番、若い男性から大声で言われたのが、
「川原代表!!お世話になっております!!」
・・・え、どこの誰?
・・・わたし、誰を世話した?
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怪しさ満点。
その時点でもう、まともに話を聞く気持ちになりませんでした。
「初頭効果」という言葉をご存じでしょうか。
人は最初の印象で相手を評価し、 その後の情報も、最初にかけたメガネをとおして聞いていきます。
この営業電話でも、私に強烈な「怪しい」メガネが かかってしまいました。
会議中なので・・と早々に切らせてもらいました。
皆さんも、例えば初めて出かけた飲食店で、ヨレヨレでシミだらけのユニフォーム 髪もぼさぼさなスタッフに案内されたら、出てくる料理はだいじょうぶかしら?
テーブルや食器は??と思ったりしませんか?
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逆に、最初にシャキっと整ったスタッフさんに案内されるといいお店に来たな~、という安心感が生まれます。
もし、店内で何かミスが一つくらい起きても、最初の印象がいいと
「ま、こんなこともあるかな」と許せたりすると思うのです。
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それくらい、最初の30秒で「感じがいい人だな」と思われることは大事なこと。
では、そのためにはどうすればいいのか・・・
はい、今日は「感じがいい」と思ってもらえる電話発信の6ステップをご紹介します。
営業電話の印象を左右する6つのステップ
1. 名乗り
「私、●●ランゲージスクールの川原と申します。」などと、まずは自分から名乗ることです。
社名・氏名は、はっきり聞き取れる速度、明瞭な発音であることも大事。
せっかく名乗っているのに、どこの誰か相手に伝わらなければ、意味がないですから。
もし、名前だけでは何の会社からわからない社名なら「私、研修会社シーストーリーズの川原と申します」のように、業種を添えて伝えるのも、感じ良さにつながります。
相手に安心感を与えることができます。
そうそう、よく「川原さま~、お忙しいところ、失礼いたします~」と芝居がかった電話がかかってくることがありますよね。
これも、怪しさ満点。
「何か売り込まれる!」と思われ、ガチャンと切られる引き金になるのでやめておきましょう。
自分では自分のことはわからないので一度録音した名乗りを、同じ部署の仲間同士で聞きあってみると、
いいですよ。
2. 相手確認
シンプルに「佐藤さまでいらっしゃいますか?」と確認しましょう。
いきなり「〇〇様ですか?」と聞くよりも、名乗ってから相手を確認することで、自然で安心感のある流れが生まれます。
「佐藤さまのお電話番号でお間違いなかったでしょうか?」など、長々と確認するのもお勧めしません。
間違っているかどうかは、本来電話をかける側が事前に確認すること。
かけた相手に確認することではありませんしね。
3. あいさつ
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「昨年、日常英会話コースにご参加いただき、ありがとうございました。その時にご案内を差し上げた川原です」
インサイドセールスであれば、過去の利用者や問い合わせ者など、接点がある方に、発信することが基本と思います。
それを明確に伝えてみましょう。
あいさつに、こうした情報を添えると相手は「ああ、あの時の!」とあなたの記憶がよみがえります。
これを心理学では「想起容易性」と呼びます。
過去の情報を思い出しやすくなることで、親しみがわき、話を聞いてもらえる確率が高まります。
さらに「お元気ですか?」などという会話も始まるかもしれません。
4. 目的
次に、電話をかけた主旨をシンプルに伝えます。
「実はこのたび、ビジネス英会話のコースをリニューアルしたんです。
佐藤さまの「お役に立てるかも」と思って、お電話させていただきました。」
相手にしてみれば、突然かかってきた電話です。
回りくどさや遠回しな表現にならないようこのくらいの、短い伝え方を用意しておきましょう。
5. 都合確認
ここでやっと、「5分ほどお時間をいただいてもよろしいでしょうか?」などの、相手の都合確認をする場面がきます。
よく、目的も伝えずに「少しお時間よろしいですか?」という方もいますが、何の話かもわからないのに、YESもNOも、答えにくいですよね。
「相手の都合確認は、目的を告げてから」と覚えておいてくださいね。
6. お礼
「5分ほどいいですか?」に対し、
相手から、「はい」がもどってきたところで「ありがとうございます」と、さりげなく伝えます。
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ここも気合を入れて「ありがとうございます!!」とすると、売りたい気持ち満々の営業と思われます。
さりげなく・・が大事です。
会話例:感じのよい営業電話はこう始める
実際に、6ステップを使った電話冒頭の会話は、次のようになります。
「私、〇〇イングリッシュスクールの川原と申します。
佐藤さまでいらっしゃいますか?
去年、私どもの日常英会話コースにご参加いただき、ありがとうございました。
その時にご案内を差し上げた川原です。
実はこのたび、ビジネス英会話のコースをリニューアルしたんです。
佐藤さまの「お役に立てるかも」と思って、お電話させていただきました。
5分ほどお時間をいただいてもよろしいでしょうか?
(はい)
ありがとうございます。」
この短いやり取りだけで、「誰が」「何のために」連絡してきたのかがクリアに、感じ良く伝わります。
まとめ:営業電話は、売り込む場ではなく、信頼を作る場
なかなか話を聞いてもらえない
これが、営業電話の現実です。
苦手意識を持たれがちですが、最初の30秒を工夫するだけで、会話が成立する確率は、高まっていきます。
1.名乗り
- 相手確認
- あいさつ
- 目的
- 都合確認
- お礼
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私の研修参加者さんは、電話の前に貼って対応しているそうです。
営業電話は、相手に信頼されるための第一歩。
「売り込み」ではなく、「安心」を届けるつもりで、 次の一本をかけてみてください。
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