「話し方」というのは、仕事にも人生にも、大きな影響を与えるものです。
コミュニケーションの講師として日々現場に立つ私は、ついつい「人の話し方」に目、ならぬ耳がいってしまう、クセがあります。
「あー、発音に子音が残っているから、西の出身の方だな」とか。
「語尾が消えいっている・・緊張されているんだな」とか。
特にプレゼンや講演を聞いていると、良い点と「こうするともっと良い」点が、頭の中で勝手にリスト化されるほど。
これはもう、職業病です。
今日は、よくある話し方のクセの中でも「ここを変えるだけで、未来が変わる」と私が感じているポイントを、3つご紹介します。
センテンスを短く話す:助詞の数で話の長さを制御する

「センテンスは短く」—ビジネスパーソンなら、もう何度も聞いたことのあるアドバイスかもしれません。
それでも、なぜ多くの人ができないのか?
それは、「短くする」とは具体的に何をすればいいか、教わってこなかったからです。
私が研修の現場で、実践的に伝えているのはこのTIPSです:
助詞「〜が」「〜ので」「〜ですけれども」などは、1文に多くても2つまでに抑えること。
たとえば次の文を見てみてください。
「今回のプロジェクトについての進捗をご報告したいのですが、実はスケジュールの見直しが発生していまして、背景としてはクライアント側の人事異動があったということで、その理由としてなんですけれども ・・・」
すべて1文です。
助詞は4つ以上、句点が1つもないので、聞いている方はどこで息を吸えばいいのかわからず、情報も飲み込みきれません。
このような話し方は、伝わらないだけでなく、話者自身が「自分が何を話しているのか迷子になる」ことも、よくあります。
どうするか?
コツは 「一文一意」。
ひとつの文には、ひとつの内容だけを入れて話す。それだけで、伝わり方がまるで変わります。
もう一つ、私がよく伝えているのがこちらのフレーズ:
「句点『。』の数だけ、聴き手は情報を飲み込む」
「。」を打つたびに、聴き手はゴクリと内容を咀嚼し、整理できます。
だから、話し手の意識としても、「次にゴクリと飲み込ませたいのはどこか?」と意識しながら話してみてください。
練習法
- ご自身の話す内容を、一度文字に起こしてみてください。
- そして、1文に助詞がいくつあるかを数えてみてください。
目安は:
- 1文に「が」「ので」「けれども」などの助詞は2つまで
- 1文が3行以上になるなら、分割を検討する
- 読み上げて息継ぎが苦しいなら、それは聞き手も同じ
口の開け方:伝えるために「聞き取れる」話し方へ

プレゼンを聞いていて、「話は面白いのに、なんだか聞き取りづらい…」と感じたことはありませんか?
その原因の一つが、「口の開け方」です。
プライベートでは、多少モゴモゴしていても会話は成り立ちます。
でも、仕事でプレゼンをしたり、講師として登壇したりする場合、「聞き取りにくい」は聞き手の大きな負担になります。
あなたの言葉が相手の鼓膜をふるわせても、脳には届かない。
機会損失につながることさえ、あります。
話す内容がどれだけ良くても、聞き取ってもらえなければゼロカウント。
資料の誤字脱字と同じくらいのマイナス評価につながるのです。
どうするか?
まずは、母音を意識して発音すること。
そのためのベーシックな練習方法がこちら:
- あ:縦に指が1本入るようにしっかり口を開く
- い:イーッと、しっかり横に引き、笑顔を意識
- う:ろうそくを吹き消すように口をすぼめる
- え:口角を上げたまま、下あごを下げる
- お:口をすぼめて、中にウズラの卵が一個入るイメージ
この母音の口の形をつくった上で、そこに子音を乗せると、聞き取りやすくなるのです。
練習法
スマホで自分の声を録音してみてください。
「おはようございます。○○(あなたの名前)です。」
この一文を、5回録音して、5回聴いてみてください。
一音一音、クリアに聞こえますか?
もし聞き取れない箇所があれば、そこが練習ポイントです。
専門用語の断捨離:伝わる相手基準を持つということ

自分が長年いる業界で当たり前の言葉でも、外の人にはまったく通じない。
これが、プロフェッショナルにありがちな「伝わらない話し方」です。
先日ネイルサロンで、20代のスタッフさんと会話をしていたときのこと。
私はつい、生成AIや動画研修の話など、自分にとっては日常会話のようなトピックを続けていました。
すると、彼女の相づちが次第に小さくなっていったんです。
「あ、これは伝わっていないな」と気づいた瞬間でした。
でも、その彼女はこう返してくれました。
「まったく知らない世界がこんなにあるんだって、すごい勉強になります。」
なんて素敵な返しでしょう。
私の「伝わっていない話」を、責めずに教えてくれたんです。
プレゼンや講演では、もっと危険
情報の断絶が、理解を阻害するどころか、参加者を置き去りにしてしまいます。
大切なのは、「自分の言葉は、相手にとって初めて聞く言葉かもしれない」という前提で話すこと。
専門用語が必要な場面でも、それが初めての人にどう伝わるか?を意識するだけで、話の届け方は変わります。
練習法
- 事前に「その業界にいない人」=他業種の友人や家族に、話す内容を試してみる
- 自分の話の中で「これは専門用語かもしれない」と思ったら、1秒止まって補足説明を入れる
伝わる話し方は、相手基準でできている。
おわりに:話し方を変えると、信頼が変わる。そして未来が変わる

話し方は、「印象操作」でもなければ、不必要にあなたを大きく見せるテクニックでもありません。
あなたが伝えたい本質を、等身大のまま伝わるようにする技術です。
センテンスを整え、口を丁寧に使い、相手の背景を想像して語る。
この積み重ねが、あなたの伝える力を変え、出会いや仕事の広がりを変えていきます。
「話し方」—それは、磨けば必ず成果が出るスキルです。
今日が、その一歩目になりますように。

